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【民法】失踪宣告の取り消しの効力

 失踪宣告が取り消されると、宣告後から取消までの期間に失踪宣告を受けていた者が死亡したとみなされることにより生じた財産上および身分上の変動が回復する。ただし、善意の者にはその限りではない。

 善意と判断されるためには当事者の双方が善意であることを有する。例えば財産上の変動として、失踪宣告された者を相続した者が、その相続した土地を第三者に売却としたとする。この場合、相続人と第三者が共に善意であれば、土地の所有権は失踪宣告されていた者へと回復復帰しない。ただし、その際は相続人は売却によって得た金銭で現存しているものを返却しなくてはならないだろう(現存利益)。なお、財産などが復帰的に変動した場合すなわち権利などをもとに戻さないといけない場合でも現存利益で足る。

 相続人もしくは第三者が悪意であれば原則論としては土地の所有権は失踪宣告を受けていた者に復帰する。しかし、問題なのは第三取得者がでてきたときである。

 相続人が悪意、譲受人が善意、転得者が善意の場合、判例は譲受人と転得者の間で善意であれば絶対的構成をとるとした。転得者の法益を保護するためにも、このような利益衡量が必要とされるのである。

 しかし、相続人が悪意、譲受人も悪意、転得者が善意の場合は、絶対的構成をとらないというのが判例である。

 失踪宣告の取消により効力を失い得るのは身分においてもそうであり、その典型が婚姻である。失踪宣告されていた者の配偶者が婚姻した場合、配偶者と相手方が共に善意である場合は後婚が有効で、どちらかが悪意の場合は重婚状態となる。すなわち、前婚においては離婚原因、後婚においては取消原因となる。