法律資格勉強アーカイブ★行政書士・司法書士

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2021-01-01から1年間の記事一覧

【民法】94条2項の類推適用

たとえば、真の権利者はAであるが勝手に虚偽表示者BがA所有の所有権移転登記をしてしまい、それをもとに第三者のCに転売したとする。なお、AはBの行為を黙認しており、Cは善意だとする。 この事例において通謀虚偽表示は成立しない。なぜなら、通謀がないた…

【民法】権利外観法理

その外形を信じて取引に入った第三者を保護する法理である。 本来的に法は真の権利者を保護する(静的安全)。しかし、取引の度に真の権利者が誰であるかを調べるのは容易ではないため、一定の場合において、外形を信じて取引に入った第三者を保護する場合があ…

【民法】法人について③

【自然人と法人】 自然人は生まれながらに権利能力を有して、死亡によりそれが消滅する。なお、全部露出説をとる。したがって、原則的に胎児には権利能力はない。 一方で法人は定款の範囲において権利義務の主体となる。もちろん、性質により享有できない権…

【民法】制限行為能力者と受領や承認

〈債務の承認と制限行為能力者〉 消滅時効において、債務を承認すると時効は更新する。また、原則論として債務の承認は制限行為能力の影響を受けないものではある。 しかし、未成年や成年被後見人についてはそもそも財産管理権そのものがないため、債務の承…

【刑法】犯罪の成立まとめ

犯罪とは「構成要件に該当し、違法かつ有責な行為」のことである。犯罪成立検討のための論理的プロセスを下記する。 まず、検討は①構成要件該当性→②違法性の有無→③責任性の有無の順で検討する。 ①構成要件該当性 構成要件を細分化すると、 〈客観的構成要件…

【憲法】国民主権とその契機

日本国憲法の原理は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義から成る。国民主権のうち、その意味は文脈により、統治権そのもの、最高独立性、もしくは国政の最高決定権、それぞれの意味で解釈することができる。 国政の最高決定権として国民主権をとらえると…

【民法】制限行為能力者と債務の承認

債務の承認をするためには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受けていないこと又は権限があることを要しない。 (民法152条2項) そもそも債務の承認は観念の通知である。すなわち、法律行為の一部である意思表示ではないため、法律行為を単…

【憲法】具体的権利説 抽象的権利説 プログラム規定説

権利の性質について ①具体的権利説 その権利に法規範性をもたせ、それを直接的な根拠にして裁判で争うことができる権利。なお、既存の法律についてや立法不作為については裁判で争うことができるが、たとえば生存権を根拠にして具体的給付を求めることはでき…

【民法】無権代理

無権代理である場合の保護と責任について、利害関係者ができること、しなければならないことを下記する。 本人 追認するか追認拒絶するかを選択できる。 相手方 ①無権代理につき善意 本人に相当な期間を定めて追認するか追認拒絶するかを催告できる。返答が…

【民法】法人について②

法人とは法律の規定を満たすことによりその目的の範囲(定款にて定める)で権利義務の主体となる団体である。もちろん、権利はその性質上可能なものに限る(性質説 例えば選挙権は法人には認められない)。 法人を集まりとみると、 ①ある目的のために人が集まっ…

【憲法】国籍について

国籍は法律により定められる。よって国籍法がある。 日本国民は国籍離脱の自由があるが、無国籍になる自由を認めたわけではなく、その離脱の要件は外国国籍取得となっている。 国籍に関する判例として、出生により日本国籍と重国籍になる子は、3ヶ月以内に…

【憲法】14条「法の下の平等」の意味

まず、憲法14条「法の下の平等」とは制度であるとともに権利である。 さらに、平等とは様々に意味と、その対比概念がある。 ①機会の平等と結果の平等 原則的には機会の平等ととらえられる。エントリーの機会は、例えば性別や人種、信条、門地、社会的な立場…

【民法】登記請求権

不動産に物権変動が生じると、登記請求権と登記引取請求権が生じる。例えば譲渡契約であれば、譲受者に登記請求権が、譲渡者に登記引受請求権が生じるのである。 登記請求権には三種類がある。 ①物権的登記請求権 所有権などの権原に基づいてする登記請求権…

【民法】認容請求権説と行為請求権説

【事例】X所有の樹木がY所有の土地に倒れかかった。※自然現象によるとする。 当該事案において、互いに物権的請求をすることができる。※なお、物権的請求は物権侵害の時日さえ存在すればよく、故意過失は問われず、意思無能力でさえよい。 X→Y 返還請求権 Y→…

【民法】物権的請求と不法占拠者

【事例】 ある土地の所有者Aは土地の名義は別人登記となっている。ある時、その土地の上にBが無断で建物を建て、自らの意思で登記をした。 その後、BはCに建物を譲り渡したが、登記はそのままである。 ①Aは登記なくして物権的請求をすることができるか。 →不…

【民法】公示の原則と公信の原則

物権の設定及び移転は意思表示においてのみ効力を生ずるので必ずしも公示と状況が一致するとは限らない。したがって、民法上制度としてはそのことを前提として公示と公信の原則を設けている。 その役割は一般に「公示されていない権利は存在していない」とい…

【民法】不動産と動産と立木

土地及びその定着物は不動産とされる。 したがって、建物も立木も不動産である。不動産(土地と建物)は登記することができ、動産は登記できない。 立木は基本的に土地の従物であるが、明認することにより、所有権を表示できる(柵と立て札など)。なお、立木の…

【民法】共有の三形態

広義の共有には講学上、3つ形態がある。 ①総有 ②合有 ③共有 総有は権利能力なき社団における広義の共有形態であり、メンバー全員に所有が帰属し、原則として不可分であるため、権利能力なき社団が精算されなければ残余財産などが分与されない。 合有は組合…

【民法】法人について

法人は法の定めにより権利能力を付与された社団である。まず、社団についてまとめる。 ①権利能力なき社団 ②一般社団法人 ③公益社団法人 ④会社 社団とは特定の目的のためにされた人の集合体である。 法人格をもたない、社団を権利能力なき社団といい、一般的…

【民法】意思表示の発信と到着

意思表示の通知は原則として到着をもって効力を生じる。ここでの到着とは相手が実際に了知することではなく、相手の支配下に入り、了知し得る状態になることをさす。したがって、通知郵便がポストに入っていたり、家族(幼い子供などは除く)が受領した場合も…

【民法】同時死亡の推定

事故などで、ある親族関係にある者がほぼ同時期に死亡し、その前後がわからない場合がある。 例えば、飛行機事故で父と子がほぼ同時に死亡したとする。すると、相続上、父が先に死亡したなら、その配偶者と子が相続した後に、子の死亡により、子の配偶者やさ…

【民法】不在者の財産管理と失踪宣告

不在者の財産管理は本人が生きている、若しくは生死不明の時に請求することができるが、不在状態が続くと不在者の財産の処分やその配偶者の婚姻に問題が生じるため、利害関係者の請求により失踪宣告をして死亡したとみなすことができる。 生死不明の時のみ請…

【民法】住所と不在者

生活の本拠地を住所として、住所がない場合は居所を住所とみなす。また、仮の住所をおくくとができる。 さて、ある者が居所不明となった場合、その財産管理が問題となる。 ①死亡しているのが明らかな場合 →相続の問題 ②生死不明な場合 →不在者の財産管理を請…

【憲法】議員・国務大臣・裁判官の特権まとめ

【国会議員】 不逮捕特権 国会の会期中は議員の許諾や現行犯逮捕でない場合は逮捕されない。行政の不当な干渉を防ぎ、議員の職務をまっとうさせるため。 また、院内における発言で法的責任をとることは原則はない。院内における名誉毀損にて私人を傷つけて自…

【憲法】統治行為論

国家機関のする行為のうち、極めて高度な政治性を有するため、法的な判断が可能であってもあえて司法審査をしないものを統治行為という。。 具体的な例としては、日米安全保障条約(砂川事件)、衆議院の7条解散(苫米地事件)、自衛隊の存在などてある(長沼ナイ…

【憲法】議院内閣制の本質

議院内閣制の本質については諸説ある。 議院内閣制の本質を内閣の議会に対する責任に求める説を責任本質説という。この立場に立てば、内閣が議会に対して解散権を持つことが必須ではない。解散権なくとも、信頼と責任があればよいからである。一般的にはこち…

【憲法】独立行政委員会の合憲性

行政権は内閣に属すると端的に規定する憲法65条であるが、果たして「独立」して特定の行政を司る、独立行政委員会は合憲と言えるのかという論点がある。 独立行政委員会は、例えば、人事院や国家公安委員会、中央労働委員会といった組織で、国家行政組織法上…

【民法】通謀虚偽表示における絶対的構成と相対的構成

絶対的構成 第三者や転得者に一人でも善意がいた場合、原所有者と最終的な転得者では後者が勝つ。 早期の法的安定と、第三者が善意である場合、保護をしなくてはならないからである。 絶対的構成が判例及び通説となる。 相対的構成 第三者や転得者ごとに保護…

【民法】賃借権の物権化

例えば賃借人Aが賃貸人Bより、Bの所有物である家屋を借りていたとする。BがCに当該家屋をCに売却した場合、Cは所有権に基づきAに立ち退きを要求することができる。 Aのもつ賃借権は債権であるのに対してCのもつ所有権は物権であるので、後者の方が対抗上優越…