犯罪とは「構成要件に該当し、違法かつ有責な行為」のことである。犯罪成立検討のための論理的プロセスを下記する。
まず、検討は①構成要件該当性→②違法性の有無→③責任性の有無の順で検討する。
①構成要件該当性
構成要件を細分化すると、
〈客観的構成要件要素〉
実行行為→結果→因果関係 で検討し
〈主観的構成要件要素〉
構成要件的故意 を最後に検討する。
因果関係は関連条件(条件説)による「あれなければこれなし」を確認する。また、社会的に相当な因果関係であるか、及び現実の危険性を考慮していく(法的因果関係)。
構成要件的故意は客観的構成要件要素における事実を認識及び認容しているかを確認する。
②違法性の有無
構成要件とは違法かつ有責な行為を類型化したものであるため、構成要件に該当した行為は違法性が推定される。よって特別な事情があれば違法性が阻却される。違法性阻却事由は以下の通り
〈正当行為〉
法令行為、正当業務行為、被害者の承諾
〈緊急行為〉
正当防衛、緊急避難、自救行為
③有責性の有無
違法性阻却事由がない場合、最後に有責性を検討する。刑法は責任主義をとり、非難可能性があるかどうかを確認する。ない場合は犯罪不成立となる。以下を検討する。
〈責任能力〉
責任無能力者は非難することができない。
刑事未成年、心身喪失者は罰することができない。また、心身耗弱者のした行為につき、刑を減軽する(必要的減軽)。
〈責任故意又は責任過失〉
責任故意は、違法性阻却事由を基礎づける事実の不認識及び違法性の認識の可能性がある場合により、それがあるとされる。
〈期待可能性〉
適法な行為を選択できる可能性のこと。現状、判例で認められたことはないが、理論上超法規的措置をすることができる場合があるとされる。
上記のすべてを通すと犯罪は成立するのである。