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【民法】占有訴権

 占有者には民法上、その占有を侵害もしくは侵害されそうな時に対抗する権利がある。

 なお、所有権に基づく物権的請求権というものがあるが、こちらは民法条文には記載がないが、占有権にさえ対抗各権が認められるなら本権からの請求権がないわけでないと解されている。

 ちなみに、占有訴権に基づく訴訟中に本権で抗弁することはできないが、本権に基づき反訴は可能である。

 

①占有回収の訴え

 物権的請求権における返還請求権である。

 奪われた占有物を回復する訴えであり、その返還及び損害賠償請求をすることができる。

 占有を奪われてから一年以内に請求しなければならない。これは、奪われたことを知ってからではない。また、騙されたのであれば適用外である。

 さらに、占有が奪われた後の善意の特定承継人(譲受者、買い受け人、賃借人)にはすることができない。

 盗品の場合には占有を奪われてから二年まで(除斥期間)であれば善意の特定承継人に回復を求めることができるが、競売や市場、同種を扱う承認から購入していた場合は償金を支払わなければならない。それが支払われるまでは特定承継人は占有物を使用することができる。

 

②占有保持の訴え

 物権的請求権における妨害排除請求権である。占有権の侵害を除去するよう求める請求権で、侵害の除去及び損害賠償請求をすることができる。ただ、損害賠償を求めるのであれば侵害者に故意や過失を要する。

 請求期間は占有権が侵害されている間は可能であるが、工場につき工事から一年経過した後や工事完成後は請求できない。社会的損害を防ぐためである。

 

③占有保全の訴え

 物権的請求権における妨害予防請求権である。占有を侵害されそうな場合に、その予防策を講じさせるか、相当の担保を供与を請求することができる。ただし、既遂ではなく故意も過失もないため、損害賠償請求はできない。

 占有が侵害されそうな間は請求可能ではあるが、やはり、工場から一年経過もしくは工事が完成したなら請求することはできなくなる。