法律資格勉強アーカイブ★行政書士・司法書士

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【民法】立木について

 立木は土地の定着物であることが原則である。しかし、伐採されるとそれは独立した動産となり、即時取得の対象となる。なお、仮植中の立木は動産とされる。

 立木の集団は登記することができ、登記されると不動産として扱われる。しかし、そこから伐採されたものは独立した動産として扱われるため、即時取得の対象となる。

 ただし、登記された立木の集団は当然不動産として扱われるため即時取得できないため、即時取得したつもりでその立木の伐採をしても、それに対して即時取得は認められない。

 立木や未分離果実、温泉など土地の定着物に対して独立して所有権を主張する場合に、明認方法がある。

 立木の場合、幹を削って住所や名前を書いたり、看板などで公示をすることになる。

 取得時効に関して、他人の土地に苗木を植え付けた場合、その生育した立木を時効により取得することができる。

【民法】公示による送達など

①行方不明者に対する意思表示

 意思表示は相手方に到達することにより効力が生じるのが原則であるが、行方不明者に対しては、公示による意思表示が可能である。

 これは意思表示の内容を裁判所の掲示板に掲示して、かつその掲示があったことを官報または市役所の掲示板などに少なくとも一回は掲示して行う。

 この方法により、たとえ相手方がその掲示を見ていなくても最後に官報に掲載した日またはその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間経過した時に相手方に到達したとみなされる。

 

民事訴訟法上の公示送達

 この場合、公示送達とは被告が行方不明の場合の送達方法である。

 訴訟が送達されなければ、裁判所にその旨が掲示される。さすがにほとんどの場合で被告がこれを確認するとは思えないため、裁判において被告の自白犠牲は成立しない。

 したがって、原告は相手側のいない法廷で自己の主張を裏付ける証拠を提出する責任が生じる。

 公示送達の手続としては、まずどこを探しても被告がいないという報告書を作成する。すると、裁判所書記官が裁判所の掲示板に公示送達という表題で掲示をしてくれる。

 その後に、掲示開始から二週間の経過で相手方に送達されたとみなされる。

 なお、公示送達は裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨が掲示に記載される。

 

【民法】婚姻障害と縁組障害

 婚姻と縁組は類似していることも多い。共に身分行為であるし、家族法上の権利義務を生じさせるからである。

 なお、婚姻や縁組、離婚や離縁は要式行為であり戸籍上の届出という特定の要式により法的効力が生じるものである。また、要式の他、その身分行為をするための意思を要することに留意する必要がある。

 

 婚姻にせよ、縁組にせよ特定の障害があることにより取消することができる。なお、取消につき、婚姻は将来効、離婚は遡及効とされる。

 下記、婚姻障害と縁組障害を比較してまとめていく。

 

①婚姻適齢と縁組できる年齢

 婚姻適齢は18歳である。それ以前に婚姻をしてしまった場合は婚姻障害として取消することができる。しかし、18歳になれば治癒される。ただし、18歳になってから3ヶ月は取消することができる。当事者やその親族、検察官が家庭裁判所に取消の請求をすることができる。

 縁組は養親は20歳以上であることが要件となっている。

 

②重婚の禁止

 たとえばある夫婦が離婚しその一方が再婚したとする。さらにその後に、前婚が取消された場合の帰結を考える。

 離婚取消には遡及効力があるため、前婚は最初から有効となる。よって、その状態で後婚があると重婚状態となり、婚姻の時に瑕疵のある後婚が取消対象となる。

 縁組につき、普通養子縁組において養子は養親と養親の親族と親族関係が生じるが、養親が養親の親族と親族関係が生じるわけではない。

 

③婚姻や縁組できる範囲

 直系血族および3親等内の傍系血族とは婚姻することできない。

 なお、縁組については年長者や直系尊属が養親になれない。

 

④離縁した者との婚姻など

 一度縁組をして離縁した場合、元養親と養子は婚姻できない。また離婚後においても元配偶者の直系の者とは婚姻できない。

 なお、傍系の者となら婚姻や縁組みをすることもできる。

 

⑤未成年者や成年被後見人の身分行為

 身分行為においては成年被後見人成年後見人の同意を要しない。ただし、成年後見人が成年被後見人と縁組をするには家庭裁判所の許可を要する。

 縁組において15歳未満の者は法定意思無能力者とされ、原則としてその縁組は無効であるが、法定代理人が代わりに承諾をすることができる。なお、法定代理人に監護者や親権を停止された者がいる場合は、他の法定代理人はその者の同意がなければ代諾することができらない。

 また、未成年者を養子とする場合は養親が夫婦である時は二人とも縁組をしなければならない。離縁するときも同じく、養親夫婦二人としなければならない。ただし、養子となる者が成年であれば縁組にせよ離縁にせよ片親とだけすることができる。

 さらに、未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可を要するが、養子となる者が自分や配偶者の直系卑属である場合はその限りではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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【民法】占有訴権

 占有者には民法上、その占有を侵害もしくは侵害されそうな時に対抗する権利がある。

 なお、所有権に基づく物権的請求権というものがあるが、こちらは民法条文には記載がないが、占有権にさえ対抗各権が認められるなら本権からの請求権がないわけでないと解されている。

 ちなみに、占有訴権に基づく訴訟中に本権で抗弁することはできないが、本権に基づき反訴は可能である。

 

①占有回収の訴え

 物権的請求権における返還請求権である。

 奪われた占有物を回復する訴えであり、その返還及び損害賠償請求をすることができる。

 占有を奪われてから一年以内に請求しなければならない。これは、奪われたことを知ってからではない。また、騙されたのであれば適用外である。

 さらに、占有が奪われた後の善意の特定承継人(譲受者、買い受け人、賃借人)にはすることができない。

 盗品の場合には占有を奪われてから二年まで(除斥期間)であれば善意の特定承継人に回復を求めることができるが、競売や市場、同種を扱う承認から購入していた場合は償金を支払わなければならない。それが支払われるまでは特定承継人は占有物を使用することができる。

 

②占有保持の訴え

 物権的請求権における妨害排除請求権である。占有権の侵害を除去するよう求める請求権で、侵害の除去及び損害賠償請求をすることができる。ただ、損害賠償を求めるのであれば侵害者に故意や過失を要する。

 請求期間は占有権が侵害されている間は可能であるが、工場につき工事から一年経過した後や工事完成後は請求できない。社会的損害を防ぐためである。

 

③占有保全の訴え

 物権的請求権における妨害予防請求権である。占有を侵害されそうな場合に、その予防策を講じさせるか、相当の担保を供与を請求することができる。ただし、既遂ではなく故意も過失もないため、損害賠償請求はできない。

 占有が侵害されそうな間は請求可能ではあるが、やはり、工場から一年経過もしくは工事が完成したなら請求することはできなくなる。

 

【憲法】生存権と3学説

 生存権には自由権的な側面と社会権的な側面とかある。前者は不当に行政権力に健康的で文化的な最低限度の生活を妨げるというような場合である。この場合は具体的権利性をもち、行政不作為の立法違憲性につき提訴することができる。下記どの学説によっても認容される。

 後者は下記学説につき、判例はプログラム規定説をとるが、通説は抽象的権利説である。

 

 【3学説】

①プログラム規定説

 国の道義的努力目標とする。ワイマール憲法下の財政的に厳しいドイツ裁判所ででた判例が初である。したがって、明らかに行政の裁量逸脱があっても違憲とはならない。法規範性も裁判規範性もない。判例の立場。

 

②抽象的権利説

 法規範性は認めるが裁判規範性は認めない。すなわち、具体的な立法がなければ、提訴することができない。なお、争えるのは立法不作為の違憲性の確認であり、具体的な給付ではない。学説上の通説。

 

③具体的権利説

 法規範性も裁判規範性も認められる。具体的な立法がなくても憲法条文にて立法不作為の違憲性を提訴できるが、やはり具体的な給付を求めることはできない。生存権において自由権的な側面が脅かされる場合は直接的に訴えを提起することができる。
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【民法】取消、無効、追認

 ・取消、解除、追認、相殺、免除は単独行為である。つまり、一方的な意思表示で法律行為は発生する。基本的には条件(付款)をつけることはできない。ただし、相手方を特に不利にしないのであればまったくつけられないことはない。

 なお、相殺は明文で条件がつけられない。免除はもともと、相手方を利する行為であるため、条件をつけることができる。

・無効と取消につき、無効は最初から法律効果が生じない。いつでも誰でも主張することができる。

 これに対して取消は取消権者が取消期間内(消滅時効)に取り消すことにより、遡及的に無効となる。

・無効は意思無能力者の行為や公序良俗違反、権利の濫用、強行法規違反などがある。

 取消は制限行為能力者側の取消や、詐欺、強迫、錯誤による取消がある。

・無効であることを知りつつ追認した場合ら新しく申し入れをしたとみなされる。

・取消権者は制限行為能力者や瑕疵ある意思表示をした者、その代理人や承継人などである。

追認もそれに準じる。

・取消は①取消できるときから五年②行為のときから20年の消滅時効がある。

・追認できるときは、①下記の要件を満たし、かつ②取消権があることを知ったときである。

 ①要件は、制限行為能力者の取消であれば制限行為能力者が行為能力者になる、詐欺であれば詐欺であると気づいたとき、強迫であれば危機がなくなったときである。すなわち、取消原因となる事由が消えたときである。

・追認は制限行為能力者も保護者の同意があれば可能であるが、成年被後見人はその限りではない。

・取消は同意なくして制限行為能力者本人ができる。未成年も成年被後見人も同意などなくしてできる。そして、取消の取消はできない。

 ただし、制限行為能力者の保護者も制限行為能力者の場合は、保護者側の制限行為能力者はその者の保護者からの同意が必要である。

・法定追認

 以下の場合は追認の意思表示がなくても追認とみなされる。

①履行 追認できる側だけでなく、相手の履行を受けることも含む

②履行の請求

③更改 債務者の変更、債権者の変更、契約内容の変更

④担保の提供 追認できる側だけでなく、相手側の担保の提供も含む

⑤権利の一部又は全部の履行

強制執行 第三者による強制執行などは含まない

 なお、異議をとどめた場合はこの限りではない。

 また、法定追認できる要件は取消権者が取消できる状態にあるときである。

・無効や取消がなされた場合は既に得た財物は不当利得となり、現状回復の義務をおう。しかし、以下の場合は現存利益の返還でよい。

①無償で財物を提供され、無効であると知らないとき

制限行為能力者の法律行為による場合

③意思無能力者の法律行為による場合

 なお、法定追認の規定は無権代理に類推適用されない。