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【民法】婚姻障害と縁組障害

 婚姻と縁組は類似していることも多い。共に身分行為であるし、家族法上の権利義務を生じさせるからである。

 なお、婚姻や縁組、離婚や離縁は要式行為であり戸籍上の届出という特定の要式により法的効力が生じるものである。また、要式の他、その身分行為をするための意思を要することに留意する必要がある。

 

 婚姻にせよ、縁組にせよ特定の障害があることにより取消することができる。なお、取消につき、婚姻は将来効、離婚は遡及効とされる。

 下記、婚姻障害と縁組障害を比較してまとめていく。

 

①婚姻適齢と縁組できる年齢

 婚姻適齢は18歳である。それ以前に婚姻をしてしまった場合は婚姻障害として取消することができる。しかし、18歳になれば治癒される。ただし、18歳になってから3ヶ月は取消することができる。当事者やその親族、検察官が家庭裁判所に取消の請求をすることができる。

 縁組は養親は20歳以上であることが要件となっている。

 

②重婚の禁止

 たとえばある夫婦が離婚しその一方が再婚したとする。さらにその後に、前婚が取消された場合の帰結を考える。

 離婚取消には遡及効力があるため、前婚は最初から有効となる。よって、その状態で後婚があると重婚状態となり、婚姻の時に瑕疵のある後婚が取消対象となる。

 縁組につき、普通養子縁組において養子は養親と養親の親族と親族関係が生じるが、養親が養親の親族と親族関係が生じるわけではない。

 

③婚姻や縁組できる範囲

 直系血族および3親等内の傍系血族とは婚姻することできない。

 なお、縁組については年長者や直系尊属が養親になれない。

 

④離縁した者との婚姻など

 一度縁組をして離縁した場合、元養親と養子は婚姻できない。また離婚後においても元配偶者の直系の者とは婚姻できない。

 なお、傍系の者となら婚姻や縁組みをすることもできる。

 

⑤未成年者や成年被後見人の身分行為

 身分行為においては成年被後見人成年後見人の同意を要しない。ただし、成年後見人が成年被後見人と縁組をするには家庭裁判所の許可を要する。

 縁組において15歳未満の者は法定意思無能力者とされ、原則としてその縁組は無効であるが、法定代理人が代わりに承諾をすることができる。なお、法定代理人に監護者や親権を停止された者がいる場合は、他の法定代理人はその者の同意がなければ代諾することができらない。

 また、未成年者を養子とする場合は養親が夫婦である時は二人とも縁組をしなければならない。離縁するときも同じく、養親夫婦二人としなければならない。ただし、養子となる者が成年であれば縁組にせよ離縁にせよ片親とだけすることができる。

 さらに、未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可を要するが、養子となる者が自分や配偶者の直系卑属である場合はその限りではない。